デートと言えるデート。そんな物は数える程しか無い。一般的に見れば。
相談相手を間違えて居るのか分からないが、神楽ちゃんが言うにはツマラナイ男だそうだ。
勿論、にとってつまらない事など全く無い。
そんな男より私と付き合うアルヨ。別れてくるヨロシ。
ほぼ命令形で言われた言葉に空笑いの様な苦笑と言うか。
の中では、家で過ごすこともデートにカウントされる。
例え彼に「外出が面倒だ」等と発言されたとしても。
そんな中、一般からしてデートと言えるデートをしている2人。本当に久々の。大きな遊園地に。
にも関わらずどこか違和感を感じるのは何故か。
土方十四郎の彼女であるはいつもより窮屈な思いで笑っていた。
「ねえ、アレ、乗ろう?」
「どれだよ。」
「だから、アレ。」
ああ?、との指先に目線を向け、話の中心であるアトラクションを探すのはの彼氏。
その横顔を見て思わず顔が熱く感じる。何度も見ているのに。そんな自分に笑ってしまう。
大好きな友達に「止めろ」などと言われても。身体は正直に反応する。
先日その神楽に言われた言葉を思い出し、違う笑みが零れた。
「何笑ってんだ。」
「ううん、別に。」
思考を止め、漸く彼が見つけたアトラクションへと足を運ぶ。
手は、繋いでいない。
繋ぎたい気持ちはお互いあるものの。
それを言葉にする事が難しいらしく、胸の辺りに違う何かを感じてはどうしようと考えてはの繰り返し。
長く付き合う2人にぶつかるのは、互いが持つ性格だ。
何度互いを求め合ったことか。外だからなのか。なのに手を繋ぐことに熱を感じて。
「家の中では思う存分出来るのによ。」
「は?」
「いや。別に。」
言葉の通りなんだよ気づけと、ほんの少し先を歩く土方が顔をしかめる。
大切にしている彼女を責めはしない。
が、どうしようもない自分に。歯痒さを感じるのだ。其れ故の出てきた言葉。
「あ、」
時間ギリギリまで居たい。
が勇気を絞って言えたお陰で、あと5分で閉園と言う時間まで2人は居た。
しかし周りの沢山のカップルや家族も同じで、時間ギリギリにも関わらず買い物をしている。
その人混みの中を出入り口に向かって歩いて居たら、が他人とぶつかった。
声を発した理由はそれだけでは無い。
可愛いキャラの着ぐるみから貰った、手にしていた風船が弾みで上空に向かって飛んで行ってしまったのだ。
2人はそれを立ち止まり、ただ目で追うことしか出来ず。
「あーあ…。」
ため息まで出てきた。そんな彼女を見て
「うわ、?!」
思わず手を引っ張り今まで来た道を走り始めた。
後ろから声がする。
「ちょ、トシ?!」
「あっかも知んねーだろ!」
「無いよ!だってもうすぐ時間が、」
と続きを言おうとして遮るのは前で引っ張る人。
「いいから走れ!」
それだけ言い、あとは抵抗されることもなく、目的の場所へと走った。
はあ、はあ、と足りない酸素を求める身体。
辿り着いても、の言う通り可愛いキャラの着ぐるみも風船も何も無かった。
あったのは、片づかれたワゴンの店のみ。
「悪ぃ…。」
「はあ、はあ、…っ良いよ、そんなっ、はあ、」
圧倒的に体力がないは、息を整えながらやっとの事で伝える。
それよりも、
「ねぇ、トシ。」
「なんだ。」
「…っ、ありがとう。」
と伝えた。
「また来るか、。」
遊園地に来れたことや。手を繋げたことや。私のことを考えてくれたことや。
全てを込めて感謝を。
「うん。来よう。」
五月蠅い教師や命を狙ってくる野郎と関わることなく、家の中でを独り占め出来ることが何よりも嬉しい。が、次こそはずっと手を繋いでいよう。
と言う意味を込めて誘う。
「、帰るか。」
「うん。帰ろう。」
愛言葉
いつもいつも素敵な絵をくれる素敵な沙羅へ!苦情、返品等は何時でもどうぞ。ちなみに。あの夢の国がモデルだったりしたりして。会話少ないし終わり方が…!リベンジします沙羅!本当にありがとう!(タイトル拝借/http://rp.lad.jp/repla/)(20061124/井灘櫻)