むかしむかしあるところに、どこまでもつづく、草がおいしげったのはらがありました。

そこにある草のほとんどはざっそうと言われるどこにでもあるような草でした。





no title









足くびくらいまである草の中にたくさんの死体がころがっていました。

にんげんと、にんげんいがいのもの(あまんとと言います)が半分くらいのわりあいでころがっていました。

めったに風のふかないのはらは、なまぐさいにおいにつつまれていました。


あるいっかくに、あまんとの死体がとくにたくさんころがっていました。

首をきられていたり、どうのところでまっぷたつにきられていたりしていました。

そのあまんとだったものたちの中心にひとりのにんげんがたおれていました。

にんげんのしんぞうはかろうじてうごいていましたが、もうすぐにでも止まりそうでした。

そのにんげんは、女でした。

少女と言ってもいいかもしれません。

そのくらい小さいからだをしていました。

そのかおやふくはあまんとの血でとてもよごれていました。



そののはらにひとりのにんげんがあらわれました。

そのにんげんはせいねんでした。

男です。

きれいなぎん色のかみのけも、いろの白いかおも、あまんとの血でよごれていました。

血なまぐさい空気にかおをしかめながら、草をふみしめていきます。



とちゅうにころがっているにんげんの死体を見ると、よりいっそうかおをゆがめました。

それは、かなしさといかりがまざったようなかおでした。



せいねんは、たおれている少女のところへとむかっていました。

あまんとの死体はふみこえていきました。

なん回か血だまりにはいり、そのたびにせいねんの足もとで血がはねました。



せいねんは、少女とあまんとの死体たちのところにつきました。

やはりあまんとの死体をふみこえて、まんなかにいる少女のちかくにいきました。

ふくが血やどろでよごれるのもかまわずに、少女のすぐそばにひざをつきました。



せいねんは、むひょうじょうでした。

しかし、なきそうなかおにも見えました。

せいねんは、ちいさなちいさな声で「        。」と、少女のなまえをいいました。

そのとき、めったに風がふかないのはらに、とつぜんつよい風がふきました。

せいねんがつぶやいた少女のなまえは、その風にかきけされてしまいました。



風がふきやんで、せいねんがむひょうじょうのままひとつぶのなみだをしずかにながしたとき、少女のしんぞうが止まりました。

風でかきけされた少女のなまえは、せいねんにもきこえませんでした。



しかし、少女にはちゃんととどいたようです。

少女のかおはとてもしあわせそうに、やさしくわらっていたのですから。



せいねんは、それにはきづかずにさってしまいました。





しあわせに死んでいった少女のはなしは、だれにも知られることのない、なまえのないおはなしになってしまいました。





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あとがき。
なんか、こんな話が書きたかったんですよ。
書きたかったってかなんとなく思い浮かんだんですよ。
読みにくいと思います。スミマセン。
あ、でもラクですね、こーいうの。
一応言っておきますがお相手は白夜叉です。白夜叉だと思います。白夜叉だといいな。
分かりにくいと思うので。スミマセン。
ていうか名前変換ないですね。スミマセン。
こんなのもう夢でもなんでもねーよ。ただの妄想だよ。



060820  緋桃