日曜日みたいな気分だ。
あの…アレ。気だるい感じ。





♯.3




目を開けると、天井があった。ちなみに、私の部屋のものではない。
目だけ動かして周りを見ると、普通の和室。
そして私は布団の上にいた。
「…全部夢だったっていうオチはやっぱりなしですか。
 あ、でも夢だったとしても問題あるよね。どうなってるんだ私の深層心理、みたいな」
できることならアイツの記憶ごと消し去りたいけど。



どちらにせよ、これだけでは判断材料が少なすぎる。
寝過ぎたときのような脱力感に耐えて上半身を起こす。
やっぱりそこは和室。と、いうことは一応日本…なのか。
言葉が通じないってことは無さそうだ、たぶん。
「とりあえず人探そう。何か聞こう。それから…」
布団の上でこれからの行動を考えていると、突然ふすまが開いた。
「うおっ、奇襲?」
「あ、銀ちゃーん!生き返ったヨー!」
驚いて変なこと口走ってしまったけど、それより、それより!


「つーかそいつ死んでねえから」
「おはようございます、お加減いかがですか?」
「えっと、あ、上々です」
って普通に返してる場合じゃない!
ちょ、これっ…この人たち…!
神楽ちゃんに新八そして銀さん!え、ちょっと、マジ!?
これって銀魂!!グッジョブあいつ!ただのSじゃなかった!
心拍数急上昇だよ呼吸も荒くなるってもんだよ。
「あの、全部口に出てますよ」
新八の生ツッコミだ。
「…あらやだ私ったら…」
「とりあえず聞きたいことたくさんあるからこっちこい」
「あ、はい」
そう言ってきびすを返す銀さんたちについていく。


「まず、お前何?何で俺たちの名前知ってるんだ?」
糖分、と書かれた書が掲げられている。漫画と同じ。
「すごい!生万事屋!」
「オイ、人の話聞けよ」
ローテーブルを挟んで向こう側に銀さんと新八。私の隣に神楽ちゃん。
そんな堪らないシチュエーションの中、尋問スタート。
「名前はです。花も恥らう女子学生です。
ところで記念に銀さんの腰触ってもいいですか?」
「ああ、お前変態か」
「失礼ですね!私は変態なんかじゃありません!ただのオタクです!」
う…うっかりカミングアウト…!
まさかこれがうわさの誘導尋問!?怖え!
「何であんなところにいたアルか?」
私の発言を完璧にスルーした神楽ちゃんが隣から問いかけてきた。
「あんなところ…ってどこ?」
「道端」
え、マジ!?あの野郎…!
「あれはー…まあなんと言うか…話すと長くなるんですが」
というかなんかいろいろめんどくさいからあんまり話したくないんですが。
「えっと、よく分からないうちに正体不明のサディスティック野郎の暇つぶしとして…異世界?から?来ました」
デコトラに跳ねられたあたりは割愛。長くねーじゃんというツッコミは受け付けません。
「…………」
「…沈黙が痛いです」
それ以上に私自身が痛いっていうのは分かってますけどね!
「あー…病院行くか?頭の」
たっぷり10秒くらいの沈黙のあとの銀さんの発言は少しショックだった。
「遠慮しときます。正気のつもりです」
すんなり信じてもらえるなんて思ってなかったけど。
少し悲しい。



「じゃあ住むところとか、は」
新八の台詞で思い出した。
そういえば私今ホームレスだ。
「無いですね。まあ何とかなるんじゃないんですか」
ほら、ホームレスで中学時代を過ごした芸人もいるし。
「何とかって…。せめて服くらいちゃんとした方が…」
「これ学校の制服なんですけど、ちゃんとしてませんか」
私よりスカート短い子なんて山ほどいるぞ。
あ、でも銀魂だとこういう服無いよね…。
「ていうかそーいう服見ねェよな。そんなんで街歩いたら目立つんじゃねェか?」
銀さんの的確なツッコミが入った。
「そうですか…?」
「あ、姉上のお古で良ければ家にあると思いますが」
「行きたいです!是非!でも私、着物着れません!」
「いや…そんな堂々と申告されても」
「袴とかなら着れるんですけどねー…」
ホント、着物の着付けとか習っておけばよかったよ。


「新八の着替えならここにあるだろ」
突然銀さんが呟いて、押入れを開ける。
「ああ、そうですね…って男物ですよそれ!?」
「そりゃぱっつぁんのアルからな」
騒ぐ新八と至極当たり前で的確なつっこみをする神楽ちゃん。
さんはいいんですか?男物で」
「いいんじゃないんですか、動きやすそうで」
見た目より機能性でしょ。





「じゃあ、僕、ちょっと街を案内してきますね」
「じゃあ、私、案内されつつ職と住む場所を探してきます」
新八の服は心持ち大きいけど、まあいいとしましょう。
靴(?)というか草履まで借りて、ちょっと街に出てみることに。
「ああそうだお前、一応これ持っとけ」
そう言って銀さんが取り出したのは、
「何ですか…名刺?」
「うちの住所とか電話番号とか書いてあっから」
「銀さんの名刺ゲットオオオオ!!」
「聞けよ」
とまあ銀さんの名刺という超レアアイテムをゲットした私と新八はかぶき町へと繰り出しました。



「かぶき町はいろいろ危ない街だから、夜とかには出歩かない方がいいかもしれませんよ」
「ふーん、へーえ、そうなんですか」
「聞いてないでしょさん」
「そうなんですかー」
「………」
マンガのままというか、実物!実物!
「ところで新八…くん!」
「無理してくん付けなくてもいいですよ」
「じゃあ新八!」
「……なんですか?」
きっと今新八は、切り替え早ッ!とかつっこんだに違いない。
それはさておき、私は万事屋と行ってみたかったランキング一位二位を争う場所を訊いた。



「真選組の屯所はどこですか?」






-----------------------------------
あれ…なかなか真選組に出会わない…(080514)