この血で汚れた手で必死に握っていたのは何だったか。
無くさないように、必死で握り締めていたのは。
そしてそれは、何処にいってしまったのだろうか。
いつその手を離したかは覚えている。
沖田は布団の中でゆるゆると思い出した。
彼女が攘夷派の一派だということは前々から分かっていた。
そして彼女も、自分が真選組の沖田だということを知っていただろう。
もしくは、それが狙いで近づいてきたのかもしれない。
そんなこたぁどうでもいい。
ぼうっとする頭を切り換える。
あの日は、確か攘夷浪士集団のアジトを見つけたから叩きにいく、と鬼の副長殿が言っていて、
それに一番隊の野郎どもを引き連れて行ったんだ。
よくある任務だった。
いつもと同じ様に、誰ひとり逃がさないようにとアジトとしているらしい家を隊士で取り囲んで、
自分と腕に覚えのある野郎で正面から、残りのうち数人で裏口から突入させた。
奇襲に慌てふためく浪士達の中に不釣り合いな、彼女を見つけた。
頭がどうこう考える前に、そうやって教え込まれた自分の身体はすばやく動いて無抵抗だった彼女を切り伏せていた。
パッと花が咲くように紅が舞って、
それから、
それから、
自分が大事に大事に握っていたものはそのとき、指の間を擦り抜けた。
そして自分の手は新しい血でまた紅く、染まった。
ポタリ、と誰のものかも分からない血が滴った。
後悔はしない、しかたを知らない。
だから、
どうか、
その余韻がいつまでも残っています様に。
「」
意識を覚醒してから、沖田は彼女の名前を小さく呟いた。
其処は彼と無し
(俺はアンタを思い出さない。忘れなければ思い出す必要もないのだから)
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言い訳。
何これ(書いたのはあなた)生産性が無いにも程がある…!
最後のはバンプさんから。飴玉の唄好きです。
083001 緋桃